漢方ではエネルギーを『気』、体全体の潤いを『血(けつ)』といい、昼間体を動かして減るので、寝ている間に胃腸が再生産します。寝る時間が短いと、作る時間が短いということになり、『気』と『血』は必ず減ります。冷たいものやぬるいものを飲食して胃腸が冷えると、気血を作るスピードが落ちてしまい、この場合も減ります。
この『気』や『血』の流れが良ければ問題は無く、流れが悪くなるとしびれが、流れが止まったところに痛みが生じると考えます。
生理痛は子宮で『気』と『血』の流れが止まり痛みが生じるものです。
流れが止まる原因は、
①ストレスで肝ののびのびした気の流れが止まり、子宮でも気血が止まったもの
②気血の量が少なく、流れが細い為小さなストレスや冷えでも影響を受けて止まってしまうもの
③子宮が冷えて子宮の部分で気血の流れが遅くなり止まってしまうもの
④ストレスや『血』の不足から、血液が固まる『瘀血』ができそれが気血の流れを塞いで止まってしまうもの
⑤子宮に湿気の邪である『痰湿』が溜まり、その粘る性質のため子宮での気血の流れが止められてしまうもの
などです。
これらは単独で生理痛の原因になることもあれば、いくつか重なり合って生理痛になることもあります。
治療法は
①の場合、『気』をのびのび動かす漢方薬を、
②の場合、『気』や『血』を増やす漢方薬に
『気』や『血』を動かす漢方薬を混ぜ、
③の場合、子宮を暖める漢方薬を、
④の場合、『瘀血』を溶かして散す漢方薬を、
⑤の場合、『痰湿』を除く漢方薬を使います。
ただし、漢方薬を飲んでも、睡眠不足があると気血が不足して、流れが弱くなり、薬の効きが落ちます。
女性の場合、現状維持でも睡眠は7時間から7時間半は必要ですので、痛みを治す時はこれより1時間以上多く寝て、『血』を増やす必要があります。
生理痛が軽い時で8時間半、痛みがきつい時は9時間寝ると、3回月経が来るくらいで痛みが消失し、それから睡眠を30分減らせます。
それでも痛みが無ければ、漢方薬を減らしていき、やがて漢方薬も要らなくなります。
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